相続を原因として不動産の名義変更をするための相続登記を申請する際に、亡くなった方の生まれてから亡くなるまでの全ての戸籍(除籍、原戸籍含む)を揃えて相続人となる人全員を特定しなければばりません。
しかし、古い除籍や原戸籍は保存期間が設定されており、保存期間が過ぎていると市町村で保存されず、廃棄されてしまいます。廃棄されたものは、もう確認のしようがありません。
そうなると、相続登記に必要な戸籍が揃わなくなってしまいます。
そのような場合、廃棄されていない戸籍等から特定できる相続人全員が、「(証拠は何もないけども)他に相続人はいないと証明するので、相続登記をしてください。」という内容の書類(「他に相続人はいない」旨の証明書といいます。)に相続人全員の印鑑証明書を添付して提出すれば登記ができる取扱いでありました。
この取扱いは50年近く続けられてきましたが、近年「他に相続人はいない」旨の証明書が添付できない場合が増えてきていることもあって、平成28年3月11日以降は、戸籍及び残存する除籍等の謄本に加え除籍等(明治5年式戸籍(壬申戸籍)を除く。)の滅失等により「除籍等の謄本を交付することができない」旨の市町村長の証明書(廃棄証明書)が提供されていれば、この「他に相続人はいない」旨の証明書は不要になりました。(平成28年3月11日法務省民二第219号)
元々、何の意味があるかわからない「他に相続人はいない」旨の証明書だったと思いますので、ようやく少し相続人の負担が減ったということでしょうか。